取材さんぽ《蔵前》

高校生ならではの視点で「闇バイト」被害防止訴え

蔵前工科高等学校の学生ボランティアが啓発プレゼン

(写真:レクチャーを受ける蔵前工科高等学校の生徒会役員の皆さん)

蔵前警察署管内には、蔵前工科高等学校と忍丘高等学校、白鴎高等学校の3つの都立高校があります。この3つの都立高校の生徒役員19名が、昨年11月、同署の学生ボランティアに登録しました。同署では、日頃から闇バイトの啓発活動を行っていますが、同年代のクラスメイトが呼びかけた方が、自分ごととして受け止めやすいのではないと、それぞれの学校に相談。学校も危機感は同じなので、まず、生徒会役員が闇バイトの実態を学び、それを生徒たちに発信してもらおうということになりました。同署管内では、今のところ被害者も加害者も出てはいませんが、身近に迫っている実感はあるといいます。生徒たちは闇バイトは危険だという認識はあるが、身近なことだという実感がないのが現状。そこで、自分たちがいつ当事者になるかわからない、という意識を持ってもらうのが狙いです。

 

(写真:プレゼンテーションを企画した生徒会役員のメンバーたち)

委嘱を受けた蔵前工科高等学校の役員9名は、教養で学んだ情報を在校生に伝えるために、2学期の終業式に合わせて闇バイト被害防止のプレゼンテーションを企画しました。署が資料として配布したチラシをもとに自分たちでプロットを作り、大型プロジェクターに映し出しながら、在校生約430人に呼びかけました。

 

(写真:AかBどっちが闇バイト? けっこうわかりにくい)

「どっちが闇バイト?」というクイズでは、普通の求人に見える募集項目の中に巧妙な罠が潜んでいることを紹介し、「『闇バイト』はこういうもの、という固定観念は捨ててください」と訴えます。

 

(写真:正解率の低さに驚き!でも確かに判断は難しい)

 

「もし、闇バイトに応募して個人情報を知られてしまっても、警察や学校、周りの人に相談して!必ず助けてもらえます!」と呼びかけ、相談窓口もしっかり紹介。自分が罠にかからないだけでなく、周りに危険を伝える側にも回って、と啓発チラシを配りました。

高校生ならではの視点が随所にあり、塚原秀樹防犯係統括係長も、「うちでも使わせてもらいたいです」と出来栄えのよさに感心していました。塚原係長は、管内には専門学校も含め8つの学校があり、防犯講話に招かれる機会は多いので、これからはそれらの学校にも呼びかけて学生ボランティアを増やし、ゆくゆくは中学校や小学校まで広げて、学生のネットワークと情報発信力を活かした防犯に力を入れていきたい、と話します。

 

(写真:蔵前工科高等学校 古藤一弘校長)

同校の古藤一弘校長も、「生活指導の先生やクラスでも普段から闇バイトについては話しているので、生徒も何となくは自覚しているのでしょうが、生徒同士の方が同じ生活感覚があるので、私たちが話すより身近に感じてくれるでしょう」と生徒会役員の活動に期待しています。

 

蔵前警察署管内 学生ボランティアの活動の様子は、広報誌「家庭と防犯」3月号で紹介予定です。

(岡田)

関連記事